研究課題/領域番号 |
62480016
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
動物発生・生理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 景一 東京大学, 理学部, 教授 (40011481)
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研究分担者 |
真行寺 千佳子 東京大学, 理学部, 助手 (80125997)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
1988年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1987年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
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キーワード | 鞭毛 / 精子 / 屈曲面 / 微小管 / 中心小管 / ダイニン / 細胞運動 |
研究概要 |
ウニ精子の頭部に強制的に振動を加えると、鞭毛の屈曲面が外部から加える振動の方向に応じて容易に可逆的に変化(回転)する。本研究では以下に述べるように、新しい除膜方法の開発などを初めとする技術的改良により、屈曲面決定機構について重要な知見を得るに至った。1.実験方法の開発としては、先ず振動装置の改良を行い、高精度の制御のできるものを得た。次に除膜方法の改良を行った。従来のトリトンモデルを用いた頭部強制振動実験では、生きた精子と同様の結果を得ることはできなかったが、CHAPS(0.04%)/Nonidet P-40(0.01%)を用いる新しい方法によって作製したモデルは、生きた精子と同様に屈曲面の回転を示した。2.実験結果:精子の頭部に振動を加え、振動の周波数・振幅・方向を変化させ、その時の鞭毛運動の波形変化を高速度ビデオに記録し解析を進めた。生きた精子も除膜後ATPで再活性化した精子も30〜80Hzという広い範囲の周波数の振動に同期して安定した鞭毛運動を行った。振動面を90°変化させると、屈曲面は本来の面からそれに垂直な面へと瞬時に変化した。振動面を除々に変化させていくと屈曲面はそれに伴って最高11回転まで変化した。振動面を変化させる方向が頭部からみて反時計回りの場合には、振動停止後に振動面の回転とほぼ同数の屈曲面の逆回転がみられた。時計回りに振動面を変化させた後では、自発的逆回転は起りにくいが、この時軸糸内構造は壊れているわけではないらしい。また、ポリスチレンビーズを軸糸に付けて実験を行った結果、屈曲面の回転中に軸糸自体は回転していないらしいことがわかった。以上の結果は、ウニ精子鞭毛は、屈曲面の可塑性を示し、その可塑性は運動機構自体の特質ー即ち「9+2」構造における滑りのパターンの制御機構のもつ可塑性と密接に関連していることを示唆している。現在、滑りのパターンの制御に係る軸糸内構造要素について引き続き検討を進めている。
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