研究課題/領域番号 |
62480110
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | (財)東京都神経科学総合研究所 |
研究代表者 |
大島 知一 東京都神経科学総合研究所, 病態神経生理学研究室・参事研 (70073062)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
1988年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1987年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
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キーワード | 脳波 / 紡錘波 / 大脳皮質ニューロン / 細胞内電位 / リズム性脱分極電位 / ネコ / 樹状突起性EPSPs / 睡眠 / 大脳皮質 / ニューロン回路 / リズム形成 |
研究概要 |
大脳皮質が示す多彩な生理的機能状態をニューロン集合体の働きとして解明する研究の一環として、浅睡眠時に皮質運動野に生ずる紡錘波のニューロン機構を解析した。適当な保護措置を施してネコの下位離断脳標本を無痛の条件下で半慢性的に維持し、以下の知見を得た。 (1)自発性紡錘波と皮質第5-6層ニューロン(錐体路細胞を含む)の細胞内電位を同時記録し、両者の関係を定量的に解析した。紡錘波中の第1型リズム性陽性波(P)と第2型陰性波(N)は各々に対応するリズム性脱分極電位(RDPs)と、振幅で正の相関関係を保ちつつ紡錘波の全期間を通じて特有の時間的消長を示した。この結果から、2種類の皮質下性入力が深層ニューロンに引き起こす興奮性反応がPとNの主な発生源であることが示唆された。 (2)この仮説を証明するためにRDPsの性質を調べた。いずれの型のRDPsも自発的な膜電位変動に対してきわめて敏感に変化したが、微小電極から通電して細胞体部の膜電位を変えても殆ど変化しなかった。これらの特徴は細胞体部から離れた樹状突起上のシプナスから生ずるEPSPs(興奮性シプナス後電位)の性質と解釈することができる。皮質表面や視床腹外側核の電気刺激によって引き起こした単シプナス性のEPSPsもまた同様な樹状突起性起源の特徴を示すことを確認した。これらの結果から、第1型RDPsは皮質中層、第2型RDPsは皮質残層に興奮性sinkを形成する樹状突起性EPSPsであることが明らかになった。 (3)皮質浅・中層(第1-3層)のニューロンについてもRDPsの有無と振幅を調べ、RDPsを欠くか、有ってもその振幅が比較的小さく、かつ樹状突起性起源の特徴が希少なEPSPsを発生することを明らかにした。このことから紡錘波のリズム成分に関しては深層ニューロンの関与が最大であることが示された。
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