研究課題/領域番号 |
62480142
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 島根医科大学 |
研究代表者 |
家森 幸男 島根医科大学, 医学部, 教授 (80025600)
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研究分担者 |
澤村 誠 (沢村 誠) 島根医科大学, 医学部, 助手 (00187303)
奈良 安雄 島根医科大学, 医学部, 助手 (80116417)
堀江 良一 島根医科大学, 医学部, 助教授 (60127529)
真能 正幸 島根医科大学, 医学部, 助手 (10183956)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
1989年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1988年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1987年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
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キーワード | 脳血管性痴呆 / 脳血栓症 / 脳血小板凝集 / 脳卒中易発症ラット / 高血圧 / 海綿状脳卒中 / 血小板凝集 |
研究概要 |
脳血管性痴呆は老年期痴呆の中でも最も多く、約半数を占めていることを島根県下の老人ホ-ムの脳解剖例で疫学的に証明し、そのモデル動物の開発を目指して、脳卒中を100%自然発症する脳卒中易発症SHRSPと米国NIHより導入した正常血圧ラット24系統のうち血小板機能亢進を伴うOM/N系との交配を実施し、血圧、血小板機能も中間値を示すF_1よりF_2世代を得、この世代より血圧は高めで血小板機能亢進を伴う個体を選択交配しF_3を得たところ、血圧はSHRSPより低いが、血小板機能がそれより亢進している個体があった。さらにF_3より血圧が高く、血小板機能がOM/Nに近い個体のみの選択交配でF_4を得、長期間観察し、自然死の後、病理組織学的に検索したところ、大脳皮質、皮質下に多発性脳血栓を生じ、いわゆる“海綿状脳卒中"の病像を呈するものが見られ、これらの子孫の継代を重ね、ヒトの脳血管性痴呆類似の病像を自然発症するSPOM系を得た。さらに電顕病理学的研究により、脳実質内の動脈は、中膜外周から変性・壊死に陥り、中膜全層に進展すると内膜細胞表層にマクロファ-ジが附着し、これが内膜下に侵入すると脳血管関門が破綻してフィブリンが侵出し、内膜下へ沈着すると共に内膜は狭窄し、ついに血小板血栓を伴って閉塞して多発生脳血栓症の病像が完成することを明らかにした。一方、ラットにおける痴呆度の評価法の開発に努め、種々の試行の後、明暗箱を用い暗箱における電気ショックの回避学習の獲得能および学習後のRetention timeがよい指標になること見出し、病変の進行と共にSPOMでは、正常血圧ラットWKY、高血圧自然発症ラットSHR、さらに脳卒中発症前のSHRSPに比較して、これら指標が明らかに低下していることを証明した。新たに開発したSPOMは、典型的脳卒中症状を呈するたとなく、受動回避学習で明らかな障害があり、光顕的、電顕的所見からも脳血管性痴呆のモデルといえ、その予防実験にも有用である。
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