研究概要 |
ペプチドグリカンに共有結合したポリアミンの生理機能に関して研究が進められ、昭和62年から昭和63年の2ヶ年の研究費補助交付期間内に次の事実が明らかになった。 1.種々の細菌におけるペプチドグリカン結合ポリアミンの存在を系統的に検討した結果、以下の偏性嫌気性菌にその存在が見い出された。 Selenomonas ruminantium Veillonella alcalescens,V.parvula, Megasphaera elsdenii,Anaerovibrio lypolyticus Lachnospira nultiparis. 又、上記の菌は、その細胞表層を構成するリン脂質はホスファチジールエタノールアミン及びホスファチジールセリンで、一般の菌に共通に存在すると言われてきたホスファチジールグリセロールやカルジオリピンを欠いていた。Anaerovibrio lypolytecaにおいては、そのペプチドグリカンにはジアミンであるプトレシン及びカダベリンの他にスペルミジンが存在していた。 2.カダベリンもしくはプトレシンをその生育に要求するV.alcalescensを使用して、カダベリン含有ペプチドグリカンと会合しているレセプターの存在を確認した。このレセプターはin vivoにおいて、プトレシン、カダベリン及びジアミノヘキサンと共有結合したペプチドグリカンを選択的に認識していることが明らかになった。又本菌の生育に結合ポリアミンが必須である。 3.S.ruminantium及びV.alcalescensから染色体DNAを分離粉製し、カダベリン転移酵素系をコードする遺伝子のクローニングのための、gene bankを作製した。
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