研究課題/領域番号 |
62480161
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
五十嵐 章 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (40029773)
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研究分担者 |
田中 真理子 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (70197474)
松尾 幸子 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (80039916)
堀 博之 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (30199525)
榊 佳之 九州大学, 遺伝情報実験施設, 教授 (10112327)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
1989年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1988年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1987年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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キーワード | 日本脳炎ウイルス / 遺伝子RNA / 遺伝子解析 / 塩基配列 / アミノ酸配列 / 病原性 / 遺伝子RNAの構造 / 構造タンパク質 |
研究概要 |
日本脳炎ウイルスの病原性に関与するウイルス遺伝子の構造解析を目的として、豚免疫用弱毒生ワクチンML17株と、その親株強毒JaOH0566種の遺伝子構造を比較解析した。遺伝子RNAの全構造は以前その全塩基配列を解析した野外株JaOArS982株と基本的に同一であったが、ML17株とJaOH0566株間には29個の塩基置換があり、その14個(51%)がアミノ酸置換に連っていた。アミノ酸変異はウイルス遺伝子上の3点(PrM-M、NS4B、NS5のN末端)に集中しており、その多くはML17株特有の変異であった。これらの変異の多くはウイルス蛋白質の二次構造、疎水性、糖鎖附加等に影響を与える変化と推定された。ウイルス粒子の最外層に存在し、ウイルスと細胞の相互作用に重要な役割を演ずるとされるE糖蛋白質は両株で保存されていたことは、黄熱ウイルス弱毒ワクチン株17Dとその親株Asibiの相違が遺伝子全体に散在し、殊にE、ns2a、ns2b蛋白質に変異率が高いという報告と比較してユニ-クな発見である。ML17株のM蛋白質の変異によってこの蛋白質の二次構造が変化する事が推定され、この株がポリエチレングリコ-ル処理に不安定である現象を分子レベルで支持する結果となった。他のウイルスではM蛋白質の変異により病原性の変化する報告もあり、今後の研究課題の一つである。ウイルスRNA合成酵素の主成分と推定されているNS5蛋白質のN末端に変異が集中していたことは、変異によってウイルスRNAの複製とウイルス増殖が変化する可能性が考えられるが、細胞培養原では両株の増殖度に差はないので、個体レベルでの増殖度に差があるという事実は細胞分化と関連して考えねばならない。JaOH0566株とJaOArS982株の間には288個の塩基置換が存在したが、その中でアミノ酸置換に連るのは18個(6.2%)に過ぎなかった。
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