研究課題/領域番号 |
62480219
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
|
研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
松尾 博司 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60010378)
|
研究分担者 |
瀬川 和彦 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (00179318)
田中 秋悟 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (90179755)
|
研究期間 (年度) |
1987 – 1988
|
研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
|
配分額 *注記 |
5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
1988年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1987年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
|
キーワード | エントレインメント / リエントリー / 潜在性WPW症候群 / 心房粗動 / 伝導遅延部位 / 興奮旋回 |
研究概要 |
Entrainmentの診断基準の1つに、pacing中止後最初の頻拍の波形は元の頻拍の波形に戻るが、その周期はpacing周期のままであるという項目がある。このうち周期に関する部分は、pacing刺激部位と電位記録部位の関係によっては当てはまらず、pacing中止後1拍だけ、pacing周期は勿論のこと頻拍周期よりも延長する事実を見出だした。このような周期の延長が何故生じるのか、そして頻拍の維持機構とどのように係わっているかの検討が本研究の目的である。 初年度はWPW症候群の臨床例で、興奮が房室結節を下行し、副伝導路を上行する頻拍を対象とした。その結果、周期が1拍だけ延長する現象の発生には、pacing時の伝導時間が頻拍時より延長する伝導遅延部位(slow conduction area:SCA-房室結節など)の存在が必要であること、興奮伝播方向からみてSCAの近位部(高位右房)からのpacingでは、SCAの近位部でしかもpacing部位の下流に相当する下位右房の周期が、またSCAの遠位部(右室)からのpacingでは、タイミングとして上流に相当する部位がないため(pacing時のHin束電位は記録できない)、すべての電位記録部位の周期が1拍だけ延長すること、その延長分はpacing時と頻拍時のSCAの伝導時間の差に一致することを証明した。従って、このような周期の延長を示す頻拍の興奮伝達経路には、必ずSCAが存在するということになる。 次年度は実験的心房粗動例について検討した。しかし心房粗動では、電位記録部位の電位のタイミングから判定される興奮伝播過程が、粗動時と心房刺激時では異なる場合があり、刺激部位によっても変動し、一定の傾向を得ることが出来なかった。その理由は不明であるが、刺激が正しく興奮旋回路(mother ring)に与えられず、抹消部(daughter wave)を刺激した可能性が考えられる。従って心房粗動におけるSCAの存在は、現在のところ不明である。
|