研究課題/領域番号 |
62480253
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内分泌・代謝学
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
花房 俊昭 大阪大学, 医学部, 助手 (60164886)
|
研究分担者 |
宮川 潤一郎 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (00127721)
宮崎 厚 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
河野 典夫 大阪大学, 医学部, 講師 (30093412)
垂井 清一郎 大阪大学, 医学部, 教授 (00028341)
|
研究期間 (年度) |
1987 – 1988
|
研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
|
配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1988年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1987年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | I型糖尿病 / MHCクラスII抗原 / 膵島細胞 / 膵島炎 / 自己免疫 / 成因 / NODマウス |
研究概要 |
本研究は、I型(インスリン依存型)糖尿病の発症において、膵島細胞におけるMHCクラスII抗原がいかなる役割を果たしているかを明らかにする目的で、1年目はまずモデル動物NODマウスを用いて検討し、2年目は、発症早期I型糖尿病患者生検膵組織の分析を行なった。その結果、次のような成績が得られた。 1.NODマウス膵島においては、5日齢から24週齢までの雌NODマウス17匹、5週齢から20週齢までの雄NODマウス6匹のいずれの膵島においても、IーA抗原(マウスのMHCクラスII抗原の1つ)が陽性に検出された。IーA陽性細胞は、インスリンを含有するβ細胞と一致した。 2.発症後2〜4カ月と比較的早期のI型糖尿病患者において、患者の同意のもとに腹腔鏡下膵生検を施行した。生検膵組織の分析の結果、(1)膵島数の減少、膵島の萎縮、(2)膵島へのリンパ球の浸潤(電顕による観察)(3)インスリン含有細胞の著減〜消失、(4)グルカゴン含有細胞の保持、(5)膵島細胞および膵島周囲血管内皮細胞におけるMHCクラスI抗原の増強、(6)膵島周囲血管内皮細胞におけるMHCクラスII抗原の増強、などが認められ、一例においては、膵島細胞自体におけるMHCクラスII抗原の発現が証明された。このMHCクラスII抗原陽性細胞は、インスリンを含有するβ細胞であることが確認された。 以上の成績は、I型糖尿病のモデル動物においても、患者においても、膵β細胞に対する免疫異常の存在を示唆するものである。とくに、標的細胞であるβ細胞におけるMHCクラスII抗原の発現は、自己のβ細胞が免疫担当細胞に非自己と認識される契機となり得る現象で、I型糖尿病の成因解明に重要な示唆を与える成績と考えられる。
|