研究課題/領域番号 |
62480309
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
福井 仁士 九州大学, 医学部, 教授 (10038713)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1988年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1987年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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キーワード | 悪性脳腫瘍 / 化学療法 / 脳組織血流量 / ATP / アデノシン / 経頚動脈的投与 / ラット / ラット悪性脳腫瘍 |
研究概要 |
悪性脳腫瘍の治療に用いられるACNUなどの脂溶性抗癌剤の組織移行量は組織血流量に依存する。従って、正常脳組織の血流量を変えずに腫瘍組織の血流量を増加させることが可能ならば、脳腫瘍内に選択的に多量の抗癌剤を到達させ、化学療法の効果を高めることができる。そこで、腫瘍組織血液量の選択的増加を目的として、アデノシン及びATPを用いて動物実験を行った。RG-C6グリオーマ細胞を定位的に脳内に移植したラットを用い、ハロセン麻酔、人工呼吸下に、血圧及びendotidal PCO_2をモニターしながら、経静脈的あるいは経頚動脈的にアデノシン・ATPを持続的に投与し、水素クリアランス式組織血流計(ユニークメディカル社製MHG-DIU)で腫瘍及び正常脳組織の局所血流量を測定した。その結果、アデノシン1.4μg/kg/min頚動脈内投与により、腫瘍組織血流量は平均24%増加した。ATP0.3〜10μg/kg/min頚動脈内投与では、投与量に依存して平均52%まで腫瘍組織血流量が増加したが、ATP30μg/kg/min以上の投与でも、それ以上の増加は認められなかった。一方、コントロールとして用いた正常ラットの脳組織及び腫瘍ラットにおける非腫瘍部分では、ATP・アデノシンの投与により、血流量の変化はほとんど認められなかった。またATP及びアデノシンの経静脈的投与では腫瘍組織血流量は増加しなかった。この結果を踏まえて、悪性グリオーマ患者15例に経静脈的または経頚動脈的にATPを投与し、PET(positron emission tomography)を用いて、腫瘍及び正常脳組織の血流量を測定した。その結果、動物実験同様、頚動脈内投与により、腫瘍部分のみ選択的に平均26%血流量が増加したが、静脈内投与では有意の変化は認められなかった。また重篤な副作用は認められなかった。この現象を応用することにより、脂溶性抗癌剤の腫瘍組織への到達を選択的に増加させることが可能と思われる。
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