研究概要 |
1)椎間板細胞培養法の確立一以下の方法により安定した培養が可能であった. すなわち幼若家兎椎間板を材料として用い, 線維輪部は0.2%コラゲナーゼ/10%FCS加HamFー12倍地中で約5時間, 髄核部は0.2%トリプシン0.1%EDTA/CMFーTyrods液中で約20分間stivvingすることにより細胞を単離した. これをファルコン24穴ディッシュに1×10^5cells/wellの密度で播種し30%FCS加HamF12培地中で培養した. 2)培養椎間板細胞の性状分析ー線維輪細胞はpH4.1トルイジンブルー染色で異染性を呈し, 分化機能維持能力, 再生能力を有する典型的な軟骨細胞が主体であった. 髄核細胞は空胞を持つ大型の細胞が主体を占め, 電顕による観察で特有なinter cell ular junctionを有することから脊索細胞であると考えられた. 次に合成するプロテオグリカンへの^<35>Sの取り込みを調べると線維輪細胞では25,112±2969cpm/wellと高値を示したのに対し髄核細胞では2655±169cpm/wellであった. 以上のことより再構成椎間板の作成に適した細胞は線維輪細胞であると考えられた. しかし問題点として線維輪細胞の単層培養系では初期では軟骨様の性質を示すものの, 如々に線維芽細胞様の形態を示す細胞が優位に立つ傾向があった. 3)コラーゲンゲル内培養法による再構成椎間板の作成ー上記の問題点を克服するためコラーゲンゲルを用いた3次元的培養法が有効であった. 線維輪細胞を同様の方法で単離し1×10^6cells/wellの密度でコラーゲンゲル(新田ゼラテン製cell matrix typeIA)に包埋して培養した. 線維輪細胞は脱分化がおさえられSPSーPAGEによるコラーゲン分析では軟骨特有のII型が確認され, 軟骨細胞としての機能を維持することが可能であった. すなわち本来の椎間板に類似した機能を発揮していると考えられた. 今後はこの再構成椎間板を髄核移植に用いる実験を進めたいと考えております.
|