研究課題/領域番号 |
62480359
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
立木 孝 岩手医科大学, 医学部, 教授 (50048237)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1988年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1987年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 先天聾 / 遺伝性難聴 / 聾遺伝子 / 潜在性難聴 |
研究概要 |
劣性遺伝の形式によると考えられている先天聾の両親は、病的遺伝子をヘテロ接合体の形で保有しているので、病的症状(聾)を顕現することは無いとかんがえられているが、しかし他の若干の劣性遺伝性疾患の中には、ヘテロ接合体の形で病的遺伝子を保有しているものに軽い症状があらわれるものがあることが知られている。この研究はそういう立場で、劣性遺伝による先天聾の両親に何らかの聴力障害があるか否かを検討したものである。対象となったものは、81例の原因不明の両側性高度難聴小児であり、その両親162例の聴力検査を行って、聴力障害の有無を調査した。81組162人(父81人、母81人)に見られた聴力障害の発現率は、父のみ障害あり25組、母のみ10組、父母とも27組、計62組76.5%の高率であったが、この中から既に自覚的聴力障害を持つもの、両親以外の家系内メンバーに難聴があるもの、騒音暴露や耳毒性薬剤投与の既往があるものなど、他の原因による障害の可能性が少しでもあるものを除いた35例70人についての成績でも、父のみ障害あり10組、母のみ6組、父母とも8組の計24組68.6%と高い率であった。この聴力障害発現率を、同年代の健常人に見られる聴力障害発現率比較したところ、青壮年期で3〜8倍、高年期でも1.5〜2倍の発現率であり、高度難聴小児の両親における聴力障害発現率は、一般の健常人にくらべて高率であることがわかった。このことから、先天聾の劣性遺伝子をヘテロ接合体の形で持つ者に、何らかの形で軽い聴力障害があらわれるという可能性が示唆された。
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