研究課題/領域番号 |
62480460
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
代謝生物化学
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
牧野 龍 慶応大学, 医学部, 講師 (40101026)
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研究分担者 |
西村 善文 東京大学, 薬学部, 助手 (70107390)
渡辺 芳人 (渡部 芳人) 慶応大学, 医学部, 助手 (10201245)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
1988年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1987年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
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キーワード | チトクロムP450 / クロロペルオキシダーゼ / 西洋ワサビペルオキシダーゼ / 共鳴ラマンスペクトル / 赤外スペクトル / 酸素化型反応中間体 / 赤外吸収スペクトル / チトクロムP450cam / 酸素化型 / アロマターゼ反応 / O_2伸縮振動 |
研究概要 |
ペルオキシダーゼやチトクロムP450などのヘム酵素は互いに良く似た高酸化状態反応中間体(Fe^<3+>-O^-_2,Fe^<4+>=Oなど)を生成するにも拘わらずその機能は異なる。すなわち前者では反応中間体中の酵素は単にH_2Oに還元去れるだけであるが、後者ではその酸素は有機基質に取り込まれる。このヘム鉄に結合した酸素の反応性の相違を解析するために、ヘム鉄に結合した外来配位子とヘム鉄周辺アミノ酸残基との相互作用を共鳴ラマン及び赤外分光法により調べた。以下にその結果を要約した。1)クロロペルオキシダーゼ(CPO)とチトクロムP450camの一酸化窒素(NO)複合体のN-O伸縮振動は西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)位子であるシステイン残基の強い電子供与性を示していると思われる。2)配位子(CO)の伸縮振動に及ぼすpH効果の解析から、HRPとCPO共に第六配位座側に存在するアミノ酸残基の存在が確認された。しかしP450camではそれに対応するアミノ酸残基が検出されず、この残基がペルオキシダーゼの機能発現に関与していると考えられる。実際HRPではこのアミノ酸が複合体II(Fe^<4+>=O)の酵素原子と水素結合を形成し、それに伴いヘム鉄が活性化されることを確認した。3)CPOの酸素化型中の結合酸素のO-O伸縮振動が1300cm付近に検出された。この値は他のヘム蛋白質のそれとほぼ同じであり、第5配位子アミノ酸の相違を反映してはいない。このようにヘム周辺構造はP450に酷似しているが機能は異なるCPOを使用することにより、ヘム酵素の機能の差異は第五配位子より第六配位座側アミノ酸により決定される事を強く示唆する結果が得られた。今後はこれらの結果を基に、部位変異法によりチトクロムP450camのヘム周辺アミノ酸の置換を行い、ヘム周辺アミノ酸と機能との関連を調べる予定である。現在、数種の変異P450camの解析を行っている。
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