研究概要 |
白色レッグホーン受精鶏卵にウズラ神経堤細胞を移植し, 心発生におけるその関与を追跡した. (1)両側神経堤細胞領域移植の場合:大血管のレベルでは両側総頚動脈, 大動脈, 両側肺動脈の中膜領域にウズラ細胞が認められた. 大動脈幹, 肺動脈幹のレベルでは両側大動脈が接する部分にウズラ細胞が認められた. 半月弁のレベルでは大・肺動脈中隔の中央部分にみられ, 肺動脈右半月弁と大動脈左半月弁にも少数認められた. 円錐中隔のレベルではほとんど認められなかった. (2)左側神経堤細胞領域移植の場合:大血管のレベルでは左総頚動脈と左肺動脈の中膜領域の腹側にのみウズラ細胞が認められた. 大動脈幹, 肺動脈幹のレベルでは, 両側の大血管が接する部分の両大血管の中膜領域とその間にウズラ細胞がみられたが, 血管の腹側に多い傾向が認められた. 半月弁のレベルになると, ウズラ細胞は大・肺動脈中隔と動脈幹腫脹癒合部が接する部分の中央にみられ, 大動脈左半月弁にも少数認められた. 円錐中隔のレベルではウズラ細胞は認められなかった. (3)右側神経堤細胞領域移植の場合:大血管のレベルでは, 大動脈, 左の総頚動脈と右の肺動脈の中膜領域にウズラ細胞が認められた. 大動脈, 右総頚動脈, 右繁動脈とも頭側では血管全周囲にわたりほぼ同様にウズラ細胞が分布していたが, 心臓に近づくにつれて互いの血管が接する部分に多くみられた. 大動脈幹および肺動脈幹のレベルでは両側の大血管の中膜領域とその間にウズラ細胞が認められたが, 特に血管の背側に主に認められた. 半月弁のレベルでは,大・肺動脈中隔と動脈幹腫脹癒合部が接する部分の中央にウズラ細胞が認められ, さらに大動脈左半月弁と肺動脈左半月弁にも少数ではあるが認められた. 円錐中隔のレベルではウズラ細胞は認められなかった.
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