研究課題/領域番号 |
62510005
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
哲学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
隈元 忠敬 (隅元 忠敬) 広島大学, 文学部, 教授 (80033471)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1988年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1987年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 自我 / 存在 / 現象論 / 自覚 / 明 / 現象 |
研究概要 |
本研究において、フィヒテ晩年における「存在」と「自覚」との連関について次の諸点を明らかにした。 1.フィヒテの哲学はおよそ1800年を境にして、前期と後期の二つの時期に分けられ、前期は自我の哲学、後期は存在の哲学と称される。後期の頂点をなすのは1804年の知識学である。これにおいて、まず「存在」の基本構造が追究され、次いで「存在」が「自我」と「世界」へ展開する経過が明らかにされる。前者は「存在論」、後者は「現象論」と名づけられる。そして晩年の哲学は「現象論」を完結するものである。 2.1810年の知識学において「存在ー現象ー世界」という三重構造の体系が提示されて、晩年の哲学の基礎が置かれる、これ以後ベルリン大学におけるフィヒテの講義は、知識学において現象論の根本原理をいっそう深く追究し、『意識の事実』『知識学入門講義』その他において意識と存在との関係を解明して現象論への導入を与え、『学者の使命』『道徳論の体系』その他において現象論の現実界への適用を示す。 3.晩年の知識学の頂点をなす1812年の知識学においては、存在と現象の連関を追究して両者の表裏構造を明らかにする。すなわち存在はそのあるがままに自らを現象し、現象は存在の現象であるゆえんを自知するとされる。ここに存在の本質が「明」であり、これに「現象の明」が対応する構造が看取される。 4.晩年の応用哲学においては、現象が世界に具現される作用が示される。この作用は結局は存在が世界を創造するゆえんにほかならず、フィヒテにおいてはこれに「明」の観点が相即することによって、存在が世界に光被する作用として主張されている。存在と自我の「明」の観点に自覚の真相があると考えられる。
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