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イスラム思想史における英知論

研究課題

研究課題/領域番号 62510010
研究種目

一般研究(C)

配分区分補助金
研究分野 哲学
研究機関東海大学

研究代表者

竹下 政孝  東海大学, 文学部, 助教授 (30163398)

研究期間 (年度) 1987
研究課題ステータス 完了 (1987年度)
配分額 *注記
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1987年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
キーワードイスラム哲学 / 英知論 / キンディー / ファーラービー / イブン・シーナー / イブン・バーッジャ / イブン・ルシュド
研究概要

イスラム思想における英知論の中心は, アリストテレス哲学を継承するイスラム哲学にある. それゆえ今年度は, キンディーの『英知論』(Risala fI al〓Aql), ファーラービーの『英知論』, イブン・シーナーの『救済の書』(Kitab al-Najat), 『預言の証明』(Fi Ithbat al=Nubuwa)にみられる英知論, イブン・バーッジャの『英知と人間の結合』(Kalam fi Ittisal al='Aql bi'l-insan), イブン・ルシェドの『アリストテレス霊魂論注〓』を比較検討することによってイスラム哲学における英知論の発展を跡付けることを試みた. その結果, 次のことが明らかになった. 上記の五人の哲学者の中では, キンディーとイブン・シーナーの間に以下の重要な共通点が見出される. 1.両者とも所持態にある英知と現実態英知を区別している. 2.両者とも, 可能態英知が能動英知と結合するとき, 思惟対象, 即ち諸形相を態動英知から直接に受容し, 現実態英知となると考えている. この場合, 感覚や想像機能は思惟にとって, 補助的な役割しかはたさない. 特に第二点は古代のアリストテレス注釈者テミステイウスの考えに近い. さらにイブン・シーナーは可能態英知を身体に依存しない非質料的なものと考えているが, この点もテミスティウスと共通する. それに対してファーラービーは, 人間に内在する英知と能動英知の結合を否定し, また可能態英知が, 思惟対象, 即ち諸形相を感覚像から抽出すると考えた点でこの二人と明白に異なるままたイブンバーッジャは可能態英知を身体に依存する質料的なもの(想像機能に近い)と考えた点でイブン・シーナーと異なる. この点において, 彼はアフロディシアのアレクサンダーの思想を受け継いでいる. そしてイブン・ルシュドの英知論はテミスティウス的伝統とアレクサンダー的伝統の巧みな折衷であると言える. イスラム哲学の英知論には以上の二つの流れがあることがわかったので, 今後この成果を基礎に, 神学とスーフィズムの英知論との関係を調べていきたい.

報告書

(1件)
  • 1987 実績報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 竹下 政孝: 『文明』. 52. 5-18 (1988)

    • 関連する報告書
      1987 実績報告書
  • [文献書誌] Masataka TAKESHITA: Orient. 23. 113-131 (1988)

    • 関連する報告書
      1987 実績報告書

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公開日: 1987-04-01   更新日: 2016-04-21  

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