研究課題/領域番号 |
62510028
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
美学
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
吉村 元雄 関西学院大学, 文学部, 教授 (70103124)
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研究分担者 |
永田 彰三 (長田 彰三) 関西学院大学, 文学部, 助教授 (10164435)
畑 道也 関西学院大学, 文学部, 教授 (70098359)
磯 博 関西学院大学, 文学部, 教授 (00079609)
今井 清 関西学院大学, 文学部, 教授 (70079606)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1989年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1988年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1987年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 主題 / モティ-フ / プロット / 寓意性 / 近世初期風俗画 / 無主題性 / 断片化 / 短小化 / 芸術表現 / 文様 / 狩野派 / 無主題 / モティーフ / idee fixe / 調性の解体 / コラージュ・スタイル / 風俗画と肖像画 / 装飾文様 / 表現 / 主題の特性 / Mythos |
研究概要 |
歴史を通して示された芸術表現上の主題が時代、民族、社会等の芸術世界の構造上の諸契機に応じて表現上いかなる展開をとげるかを追求する目的で、初年度は各芸術領域で主題の特性の分析にとつめた。そこで得られた所見は、1.音楽ではモティ-フの性格と構造が主題の特性と展開を決める。2.工芸では主題よりもモティ-フ(オ-ナメント、パタ-ン、文様)が表現の特性を決定する。3.美術では主題よりは描写対象が作品表現の特性を決める。4.演劇に関しては主題は表現の目標としての思想内容にあたり、素材(題材)を作者の精神的観点から捉えることによって抽出された意味連関であり、モティ-フとミュトスないしプロットによって具体的に展開される、というものであった。 以上を念頭に第二年度と第三年度、各ジャンルで研究を重ね、以下のような知見を得た。 1.19世紀の標題音楽、たとえばベルリオ-ズの幻想交響曲では主題の変形の手法が現れ、五つの楽章が一定の主題(固定楽想)で統一されるが20世紀初頭の第二次ヴィ-ン楽派の無調の音楽になると作品は無主題的となり短小化し、作品の統一性を文学的テキストに依存することになる。この傾向は現代演劇にも妥当し、作品の断片化、コラ-ジュ・スタイル、上演の自律性と言葉の解体が進み、プロットも作品構成上の一要素にすぎなくなって作品と堅く結びつかなくなる。 2.工芸では、主題は木工芸や編物、織物、芸において素材の中に、あるいは製作工程や自然の作用において偶成的に見出されることがあるが、日本の文様では寓意性がみられ、文様が装飾以外の何ものにも奉仕しなくなるのは近代以後のことである。 3.美術、とくに日本の近世初期風俗画は慶長末から元和、寛永期に町絵師を中心に主題を浮世的世界に求め、近世的な人間像を表現しえた。
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