研究概要 |
62年度研究計画は次の2つであった. 第1は両眼視差によって成立する奥行き知覚と視覚誘発電位(VEP)との間の関係を明らかにすることであり, 第2は主観的奥行き感を生じさせるきめの勾配(density of texture)とVEPとの間の関係を明らかにすることである. 第1の実験的研究において次のことが明らかになった. ひとつは両眼視差が増大するに従い, 奥行きの深さは増大し, その奥行き視の成立するまでの反応時間は, 両眼視差の増大と線型の関係にある. ふたつは, 奥行き知覚にともなうVEPは, パタンVEPと著しくその形態を異にし, パタン刺激入力に対応するVEPと奥行き知覚成立とかかわるVEPとの合成である. また, 奥行き視の成立するまでの反応時間と両眼視差によって生じたVEPの出現時間(潜時)とはよく対応する. 本知見の一部は, 生理心理学会及び脳波筋電図学会に発表した. 第2の実験的研究において, 次のことが明らかになった. 刺激は上下, 左, 右の半側視野に提示したが, 奥行き感は下半側視野において著しく, 奥行き感は, パタン視覚誘発電位のC_3成分にもっともよく反映する. 本知見は, 63年度の生理心理学会で発表予定.
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