研究概要 |
1.目的:幼児・児童における養護性(nurturance)の発達の様相とそれに結びつく要因を発見するために, 幼児・児童集団の横断的比較を行うこと, および, 子どもの養護性発達にとって重要な意味をもつきょうだい間の養護行動を縦断研究サンプルにおいて調べ, 3年〜3年半以前に調べた結果との結び付きを探ることの2つが, 本研究の目的である. 2.方法:上記の目的1に関しては, 5歳・8歳・11歳児合計557(男児276, 女児281)名の親を対象とした質問紙調査を行った. 質問項目は, フェイス・シート項目のほかに, 子どもの一般的な養護的態度を調べる多面的項目, 対象別の養護行動(弟・妹, ペット, 老人, 大人等との接触とその世話)を調べる多面的項目, そして養護行動と関連をもつと予想される日常生活のパターンを調べる項目からなる. 目的2に関しては, 約3年半および約3年以前, 第2子が10か月時と15か月時に面接・観察を行った縦断サンプルのうち39組のきょうだいを対象として, 養護行動を中心とした多面的な質問紙調査を行った. 3.主要な結果:(1)援助・世話を必要としている存在に関心をもち, それを助け育てようとする態度としての「一般的養護性」という基本的次元が幼児・児童を通して存在することが確認された. (2)弟・妹;他の年少の子ども;ペット;おとなといった4種類の対象毎にある程度分化した, 対象別養護行動が存在することが見出された. そして, 養護行動を多く示す子どもは, 他の行動(スポーツ, 友人と過す, 学習, 家事)も多く示す子どもであった. (3)大部分の養護的態度・行動は, その現れが幼児期から小学校高学年にかけて減少した. (4)きょうだい間では, 上の子の小学校入学以降きょうだいへの養護行動が減少することと, 2〜3歳間隔のそれで正・負両面の相互作用が目立つことが分った.
|