研究概要 |
帰納推理の1つである言語アナロジー推理の解決プロセスのモデルとして, 類似度判断に基づく2段階モデルを仮定し, その検証を試みた. このモデルでは, 真偽反応形式のアナロジー推理問題(「A対BはC対Dである. 」と言えるかどうか. ), あるいは2肢選択反応形式のアナロジー推理問題(A対BはC対(Di, Dj)である. 」)が与えられると, 被験者はまずA, B間の意味関係とC, D(Di, Dj)間の意味関係の全般的な類似度に基づいて, 解決を図ろうとする(第1段階)と仮定する. 第1段階で解決に至らない時には, より詳細な類似度の吟味(第2段階)を行い, 解決に至ると仮定する. この仮説の検証のために, まず, 大学生を被験者として, 第1段階で真, あるいは偽と反応されると仮定される選択肢, および, 第2段階で真, あるいは偽と反応されると仮定される選択肢を抽出する実験を行った. ついで, 大学生を被験者とし, 反応時間を測度として, 真偽反応実験, および, 2肢選択実験を行い, 仮設の検証を試みた. 結果は仮設を支持するものであった. 補助金の交付決定時期(10月)が遅かったために, 十分な実験を行う時間が少なく, 今後に残された課題は多い, 特に, 個人差についての吟味は, 目下, 分析中である.
|