研究課題/領域番号 |
62510052
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
心理学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
投石 保広 大阪大学, 人間科学部, 助手 (00093443)
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研究期間 (年度) |
1987
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研究課題ステータス |
完了 (1987年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1987年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 事象関連電位 / N_<400> / プライミング効果 / 文脈効果 / 語い判断課題 |
研究概要 |
言語理解の過程の中で、ユニ-クかつ優れた機能である先行文脈に基づく予期の効果-即ち、予期されそうな語は、予期されそうもない語よりも速やかに理解されるというプライミング効果-を取り上げて、その時の脳の事象関連電位(ERP)を測定し、特にその中のN_<400>成分について分析した。最初の計画では文事態を用いる予定であったが、その事態ではN_<400>が明瞭に出現しないことが予備実験によって判明したので、本実験では、プライミング実験の典型的な設定である、一単語文脈事態を用いた。つまり、漢字2字熟語を提示語として、プライム語の後にタ-ゲット語を提示し(SOA=1500msec)、タ-ゲットに対する語彙判断(その語が普通の熟語であるのか、それとも存在しない漢字の組合せであるのかの判断)を被験者に求め、プライム語とタ-ゲット語に意味的関連性のある場合(今回は、被験者にとって予期しやすいように、"大人-子供"のような反意語関係を使った)と、無い場合を設けた。このようにして、タ-ゲットが(i)偽熟語の試行(N)、(ii)プライム語と意味的関連性をもつ熟語の試行(R)、(iii)関連性の無い熟語の試行(U)の3条件を設けて実験した。その結果、反応時間はR=710、U=818、N=1002msecとなり行動上もプライミング効果が認められた。3条件のERPを比較したところ、UとN試行には、R試行の電位を基準にして約7μV陰性に振れるN_<400>を認めることができた。さらに、そのERPデ-タに対して主成分分析を実施したところ、頭皮上中心部優勢のN_<400>成分を抽出することができた。この分析の結果から、N_<400>が明確なERP成分であることと、先行文脈から予期できない意味をもつ語や、日本語としてまったく意味をもたない、いわば常識に反した語に対しても出現ることが分かった。そして、今までの研究成果と併せて、N_400>は意識的注意の転換過程を反映するERP成分であると解釈した。
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