幼児の分類学習におけるカテゴリー化様式(全体的、分析的)に影響する要因を検討するために、図式的な顔刺激と全身刺激を用いて、8つの実験を行った。すべての実験で、学習の初期、完成期および過剰訓練後にカテゴリー化様式を査定した。 訓練量:8つの実験を通して、学習の初期から完成期にかけて分析様式者が増加し、全体様式者が減少した。ただし、全身刺激の強族類似課題では、訓練の効果が顕著でなかった。 族類似性:学習事例が持っている各カテゴリーの典型価の数によって標本(典型)事例と学習事例の族類似性を操作した。この要因を組み入れたすべての実験において、分析様式者は弱族類似課題でより多く、全体様式者は強族類似課題で多いという結果が一貫して得られた。 刺激:分析様式者は顔刺激でより多く、全体様式者は全身刺激でより多かった。その原因は、変化する次元の集中(顔)ー分散(全身)ではなく、変化する属性の多様性であることが確かめられた。 学習事例数:学習事例の数(3と6)は顔刺激でも全身刺激でも、カテゴリー化様式にはほとんど影響しなかった。 教示:顔刺激の強族類似課題においてのみ、全体様式者は"似ている"教示でより多く、分析様式者は"仲間"教示でより多かった。 個人差:個人差の要因として、知覚・概念という認知型、認知発達としての保存段階、知能(精神年齢)を取り上げたが、いずれもカテゴリー化様式に有意な影響を及ぼさなかった。 以上の諸結果から、被験者の要因よりも、訓練量、課題、刺激といった要因が幼児のカテゴリー化様式の決定因であると結論することができる。
|