研究課題/領域番号 |
62510088
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会学
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研究機関 | 椙山女学園大学 |
研究代表者 |
黒田 由彦 椙山女学園大学, 人間関係学部, 講師 (30170137)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1988年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1987年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 家族 / 都市 / 新中間層 / 後期資本主義 / 階層分化 / 社会統合 / 血縁ネットワーク / 都市新中間層 / 「中流」意識 |
研究概要 |
現代日本の家族の形態・機能は著しく多様化しており、またある家族がどのようなネットワークのなかに組み込まれているかも多様化している。具体的に言えば、家族および血縁ネットワークの形態・機能は社会階層により多様であり、さらに同一の社会階層に属していても居住する地域によって異なる。本研究が追求したのは、都市に居住する新中間層の家族の社会統合的機能の中長期的な見通しである。性別役割分業を典型的に成立させた 「中流」 家庭は戦後の経済の高度成長と政治の安定に貢献してきた。しかし中流をつくることによる成長から格差を作り出す成長に転換した今日、 「中流」 家族は緩やかに両極分解を始めている。 「中流」 家族は単独で存立しうるほどの資産をもたず、加えて比較的に伝統的な秩序感覚をもっているので、社会変動への感応度が高いと考えられるが、量的にも質的にも社会の中核であるこの層が分化を開始しているとすれば、社会全体に大きな影響を与えるだろう。一般に大都市地域であればあるほど家族や血縁ネットワークの社会統合的機能は、農村部や地方都市と比較して、弱くなる傾向があることが指摘されてきた。しかし階層分化の兆しは家族をめぐる状況にも変化をもたらさざるをえない。上昇する階層 (大都市居住、専門職従事、若年高学歴、高収入) にとって家族はますます生活と労働力再生産の装置としての意味を感じることになる可能性がある。十分な購買力さえあるならば、あらゆる物が商品化されている都市に居住する限り、全ては金で買えるからである。他方、取り残される階層にとっては、家族や血縁ネットワークが生活防衛の仕組みとして、あるいは生き残りのための戦略として、再び意味をもつようになる可能性がある。いずれにせよ、 「中流」 階層の分解にともなって家族がどのような役割と機能を担うことになるかは、中長期的に追求してしかるべき問題であると思われる。継続して追求したい。
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