研究概要 |
1.環境教育に関する実態調査として, 滋賀県内の小・中学校の児童・生徒へアンケート調査を実施し, その結果を分析した. 調査は, 大津市・守山市の小・中学校各2校, 小学生242名, 中学生250名, 総計492名を対象とした. 調査目的は, 児童・生徒の環境意識の実態をとらえること, 現在の小・中学校の環境教育の困難点と問題点を明らかにすること, においた. 本調査は, 従来の概括的な環境意識の調査を批判的にみて, (1)子どもの既習の学習経験とかかわらせて, 環境意識の水準をとらえる項目を作成し, (2)家庭科・社会科・理科・健康の4教科に共通する「水」問題に焦点づけて, 環境教育の総合化の契機を考えたこと, に特色をもつ. 調査結果の分析から, 家庭科領域で水を汚さない学習や節水学習の不十分なこと, 社会科領域で上・下水道のしくみや水害問題の学習の定着の悪さ, 理科領域での「水の循環」学習の不徹底なこと, が明らかになった. 2.家庭科・社会科・理科・健康の4教科の現行の学習指導要領・指導書・教科書(小・中・高)について, 環境教育に関する内容を分析し, 各教科での環境教育の概念を検討した. その結果, 各教科に固有なものと2教科以上で重複するものを区分けし, 総合科目として環境教育の基礎視点をとらえることができた. 総合科目としての環境教育カリキュラムの研究として, 「物質循環サイクル」概念を基礎概念にすえるべきこと, 身近な直接経験の生活環境の指導とともに, 間接経験による「地球環境」の認識形成を目標とすること, が明らかとなった. 3.環境教育のカリキュラム内容の研究に重点をおいたため, 教材・教具の作成に関する研究が, 本年度は深められなかった. 直接的な教材・教具の作成は今後の研究課題として残ったが, 社会科教育では先行実践の分析から教材・教具の作成をとらえようとした.
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