研究概要 |
学校開放を推進するには, 一方で, 19歳以下人工の年齢層別推移を見て, 小学校・中学校・高校別に, 教室等にどの程度の余裕が生じるかを予測する必要がある. 他方, 学校開放の必要性予測するには, とくに「日常生活圏」での社会教育サービスを必要としている高齢者人工の推移を予測する必要がある. 6歳の児童が, 日々「徒歩」で通学できる小学校の開放は, 生活空間的に見て, 高齢者の学習に不可欠の前提条件となる. まだ, 核家族下の児童生徒が高齢者と接触, 交流することもきわめて重要な教育的意義をもっと考えられる. このような視点から, 大阪府と兵庫県で, 自活体別に高齢者層(60歳以上)と, 乳幼児層(4歳以下)の推移を追跡した. その結果, 大阪府全体では, 昭和50年から60年までに乳幼児層が10%から6%へ減少したのに対し, 高齢者層は9%から12%へと増加した. とくに前者の減少傾向は著しく, 比率か半分以下に低下した自活体も少なくない. 兵庫県の市部についても, ほぼ同様のことがいえる. このような人口の急激な変化にもかかわらず, 自活体の学校開放への取り組みは, 予想以上におくれている. たしかに「学校公園方式」を積極的に推進してきた神戸市とか, 条例に基づいて小学校に公民館を併設した茨木市や豊中市のような先進的事例はある, しかし, これらは, 児童数の減少や高齢化の波が押し寄せる以前に提言された学校開放である. 学校開放が進まない原因の一端は, 一般に教育委員会内部の保守性により, とくに学校教育課の抵抗が顕著である. 教育委員会内部の対応がおくれれば, 財政当局から「あき教室」を放置すべきでないという批判を受けることになろう.
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