研究概要 |
(1)研究課題に関する理論研究を行うために文献を購入し, また各種資料を収集するとともに, その整理を行ない, コンピューターを使用した類型化作業を完了した. (2)学問的生産性の規定条件を明らかにするために, 質問紙"Questionnaire for the International Comparson of the Conditions for Scientific and Academic Productiuity"を作成し, 米国30機関(32分野, 960部), 西欧(西独・仏・英・伊・加)の各20機関(100部)を発送した. 現在まで前者166部(回収率17.3%), 後者16部(16.0%)を回収した. (3)主要機関の必要資料収集のため, 欧米95機関に手紙を発送し, 現在まで42機関(回収率44.2%)から解答を得た. (2)の質問紙と(3)のデータを照合しながら, 各機関の学問的生産性の条件を検討する情報整理を逐次行なった. (4)上記(2)で実施した調査の回収質問紙の整理, 集計, コンピューターによる作業を勧めた. (5)理論研究と実施研究に基づいた結果をまとめる作業に着始した. 主要結果については, 今後発表する予定であるが, 例えば次のような結果を得た. 上記質問紙PartII4の「各国が学問的生産性を高めるために重要な条件は何か. 次の選択肢から最も重要なもの3つを選び1, 2, 3の順位を付してください. 」(1)民主主義, 資本主義, 自由主義など社会システム, (2)GNPなど経済力(3)科学を支える文化と風土, (4)研究費配分など科学政策, (5)学界の伝統と特質(6)科学者間のコミュニケーション網, (7)科学者のパーソナリテイと才能, (8)その他. 順位は, 延べ回答者603人中, 1位は(4)(19.1%), 2位は(3)(17.2%), 3位は(5)(15.4%), 4位は(6)(14.6%), 5位は(7)(9.0%)となる. 現在, 世界の学問の中心地を形成している米国の主要研究機関の長たちは, 「高等教育システム」「科学的文化と風土」「学界の伝統と特質」を特に重視していることが分る.
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