研究概要 |
1.研究対象である北陸地方の高齢化に関するデモグラフィックな指標は, 次のとおりである. (1)老年人口比率は, 全国的にみてかなり高い. (2)しかしながら, 核家族世帯比率は小さく, したがって, 高齢者の単独世帯の比率は小さい. 2.富山県を対象として, 高齢者の生涯教育活動に関連する環境要因指標を検討した. (1)施設としての「老人憩の家」等の数の老人人口に対する比率は全国的にみて高い. (2)組織としての老人クラブ加入率等も高い. (3)老人クラブ加入率は, 富山県内市町村についてみると, 町村部で高い. 3.高齢者の生涯教育活動の実態および教育活動能力指標を明らかにする目的で質問紙調査を実施した. 調査の概要は次のとおりである. (1)調査地点:富山県高岡市の老人福祉センター3ヵ所. (2)調査対象:各センター利用者. (3)抽出方法:利用者の中から任意に抽出. (4)調査方法:調査員による質問紙面接法. (5)調査期日:昭和63年1月8日, 9日. (6)有効回収票数:247. (7)調査内容:現在の教育・余暇活動, 過去の活動経験, 活動を始めた経緯, ゲートボール, 友人関係等, および属性. 4.この質問紙調査の結果の概要は次のとおりである. (1)高岡市の高齢者の余暇・教育活動は, 都市(横浜市)の高齢者の同様の調査結果と比較しても, かなり活発である. (2)過去の活動経験との関連をみると, スポーツや学習活動においては, 過去の活動経験という能力ストックの影響が大きい. 趣味については, 高齢者になってから始めるケースも多い. (3)ゲートボールは, 高齢者になってから始めることの多い活動であるが, そのきっかけとしては, 友人の影響がもっとも大きい. 5.本研究の今後の展開としては, 環境要因と能力要因との関連を精緻に検討することである.
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