研究概要 |
日本の点字が制定されて100年近くも経過してるが, その標記法と指導法については, まだ多くの問題をかかえている. 現在, 点字標記法のうち, 最も問題となっている点字分かち書きについて, その規則と指導法を検討するために必要な基礎資料を得ることを目的として, 語の区切り目の意識を調査した. 盲学校小学部の児童を対象として, 自立語と助詞や助動詞との間及び形式名詞や補助用語の前など, 語の形態に関する区切り目の意識を調査した. 提示文の語の区切り目を積木などで表現させるモデリングの方法で調査し現在分析中である. 又, その他の点字使用者や点訳奉仕者などを対象として, 語の形態に関する区切り目の意識に加えて, 複合語内部の区切り目など, 語の構成に関する区切り目の意識についても調査した. 録音テープを聞かせて分かち書きさせたり, べた書きの文を区切らせたり, 逆に, 意味の最少単位ごとに区切った文を, 適切と思う位置で区切り直させたりする方法で調査し, 現在分析中である. 先天盲児や中途失明者の点字解読の指導にも, 多くの問題点がある. 特に現在は, 1分間に400文字以上の実用的な速さで読めるようになる迄に, 長い年月が必要である. 本研究に先立って我々は, 速い読み手の方略を検討してきた. 点字の読み速度を高めるための教材については昨年までの予備実験の結果に基づいて学習プログラムを作成し再度小学部, 1年の盲児を対象として指導実験を行って若干の修正をした. さらに, それを点字製版・印刷して, 多学年にわたる盲児や, 中途失明者に対して実際の指導を行うことを協力者に依頼している.
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