研究概要 |
先周文化の基礎的研究を研究目的として研究を行なった. ここで言う基礎的研究とは, 過去における周発祥の地の踏査資料を整理することと, 周発祥の地における陶器編年および青銅器編年を行うことであった. 以下のような研究活動を行なった. (1) 陵西省周原および豊京において撮影した周関係写真(遺跡・遺物)の整理を行った. あわせて陶器青銅器の編年を完了した. (2) 周関係遺物の拓本・図面の整理を行った. (3) 先周文化遺跡の分布, 地名表などをパソコンに入力した. (4) 写真, 拓本等の日録を作り, パソコンを理用して整理. (5)先周関係の諸情報をパソコンに入力するべく計画を立案中. 昭和61年度までに中国のフィールドにおいて収集しておいた資料を, 昭和62年度のこの科学研究費補助金を用いて, 研究を行う上できわめて有効な資料に整理することができた. またあわせて以下の点が明らかとなった. (1) 〓後期に併存して, 渭水流域に周の文化つまり先周文化が存在した. (2) 先周文化の基準は高領乳状袋足文〓鬲にあり, あわせて共存する速当鬲も先周文化の基準となる. (3)先周文化は, 段墟文化III・IV期に併存し, 二里頭, 二里岡文化にまで翔る可能性は弱い. (4)渭水流域にも二里岡文化の青銅器が存在する. この青銅器は先周文化に先行する時期の遺物と考えるべきである. (5)古公〓父以前の先周文化に関しては, 新たな遺跡の発見が必要と思われる.
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