研究課題/領域番号 |
62510246
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
英語・英文学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高田 康成 東北大学, 文学部, 助教授 (10116056)
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研究分担者 |
大河内 昌 東北大学, 文学部, 助手 (60194114)
鈴木 英夫 東京大学, 教養学部, 助教授 (90109215)
吉田 忠 東北大学, 文学部, 教授 (60004058)
鈴木 善三 東北大学, 文学部, 教授 (70004033)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1988年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1987年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 名声 / 永遠 / 無常 / 運命 / 伝統 / 創作 / 新参 / 権力 / 暴力 / 哲学 / 政体論 / マキアヴェリズム / 永遠の名声 / 現世的名声 / 構造主義的人間観 / 主体 / 他者 |
研究概要 |
(A)歴史的考察。英文学において、14世紀から19世紀に亘って連綿と続く「名声の系譜」を個別的・具体的に辿ることにより、この主題に共通するモチーフが得られた。それは、(1)永遠と無常、(2)伝統と革新、に係わるものであり、「文芸」という特殊近代的領域を超えて、広義の社会科学をも含む人文学一般に亘る問題群をなす。問題の核心に迫る為には、英文学以前の「ファーマ」の歴史を辿る必要があり、古典古代から中世初期のラテン文芸・思想に遡って、名声論の原点を探ってみたところ、ウェルギリウス、オウィディウス、マクロビウス、ボエティウスなどの作品が中核をなしていることが判明し、「ファーマ」は「噂の女神」として否定的に捉えられており、しかも現世的運命を司る「フォルトゥーナ」と二重写しになることが多く、永遠の実在に帰依することを説く「フィロソフィア」と対立するか、或いはその世界観の下に取り込まれしまう。英文学において「名声」を扱った最初の作品、チョーサーの『名声の館』は、このような脈絡と伝統の延長線上で書かれ、それに続く一連の系詳は、この近代における変容と見なければならない。 (B)理論的考察。歴史的考察を通じて得られた、現世的で不安定な、従って「権力による正当化」を必要とするフォルトゥーナ・ファーマ、これに対して存在論的に既に正当化されている、絶対にして永遠の実在である神の世界を説くフィロソフィア、この両者の対立は、後者の絶対性が近代に近づくにつれて弱くなるに従って、後者のみの自律的問題に変容して行く。絶対性・永遠性といった超越的実在が最早大前提として受け容れ難くなったとき、新参の権力・暴力の正当化に焦点を絞ったマキアヴェリズムが台頭する。近代における「名声の獲得の理論」は、構造上マキアヴェリズムと重なる。文芸における名声の問題は、政体論や精神現像学と密に関係する。
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