• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

古代地中海世界における終末思想-その諸形態と意義-

研究課題

研究課題/領域番号 62510271
研究種目

一般研究(C)

配分区分補助金
研究分野 文学一般
研究機関東京大学

研究代表者

荒井 献  東京大学, 教養学部, 教授 (40012439)

研究分担者 佐藤 研  東京大学, 教養学部, 助手 (00187238)
川島 重成  国際基督教大学, 教養学部, 教授 (30052260)
本村 凌二  東京大学, 教養学部, 助教授 (40147880)
宮本 久雄  東京大学, 教養学部, 助教授 (50157682)
伊東 俊太郎  東京大学, 教養学部, 教授 (80012277)
研究期間 (年度) 1987
研究課題ステータス 完了 (1987年度)
配分額 *注記
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1987年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
キーワード終末論 / 終末思想 / 始源論 / 預言者的時間感覚 / グノーシスの時間把握 / 予型論 / アウグスチヌスの『神の国』 / ヴィルギリウス
研究概要

一般に「終末論」という語は曖昧にしか意味付けられていないが, 「終末論」と「終末思想」は互いに区別されるべきである. 「終末論」とは, 或る決定的な事態(大部分救いか災いに二分)が到来しつつある, ないしは今既に始まっているという切迫した時間認識・時間感覚を指す. 「終末思想」とはこうした感覚が言語的発現を見るとき必然的に伴う表象群ないし表象組織を意味する. 終末論は従って必ずある終末思想を伴うが, 後者は一担成立すれば, 必ずしも前者固有の時間感覚がなくとも観念として存在し続けうる. 例えば紀元二世紀以降正統派キリスト教と多くの場合〓〓し続けたがノーシズにおいては, 終末思想は残存したが, 終末論は最早皆無か, あっても別次的でしかない. ここではむしろ, 将来的な「終末」よりも, 時間がいわば逆収束した先の「始源」の認識が救済もたらす(「始源論」).
終末論は, 顕在が潜在的危機状況の中で, 古代イスラエルの預言と原始キリスト教の中核部分に最も的確な出現を見た. 五世紀前半のアウグスチヌスキこの伝統に連なる. 即ちローマ帝国の崩壊と同時に帝国内のキリスト教共同体の終末に直面したアウグスチヌスは, その滅亡意識の中で, 可視的な世界を越えて『神の国』の終末論的視野が浮上するのを体得した. なお更に興味あることに, 終末論はイスラエルやキリスト教元来圏以外にも例がある. 例えばヴィルギリウスには救いの終末論が見られるが(『牧歌』第四款, 『アイネイス』第六巻), それは決してイスラエルの終末論に直接影響されて発生したものではない. これ以外にも古代地中海世界において, とりわけ政治社会状況にある危機が迫ると, 〓〓包括的な終末論を担ったアウトサイダーが出現する. ということは, 終末論とは時間的実存としての人間存在に根ざした. 危機的現実とその〓〓把握の一可能性なのである. この認識のもと現代の終末論とも対決せねばならない.

報告書

(1件)
  • 1987 実績報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 荒井 献: 新約学研究. 15. 2-14 (1984)

    • 関連する報告書
      1987 実績報告書
  • [文献書誌] Sasagu Arai: Cahiers de la Bibliotheque copte. 21. (1988)

    • 関連する報告書
      1987 実績報告書
  • [文献書誌] 川島重成: 国際基督教大学学報4-B 人文科学研究・キリスト教と文化. 21. 77-99 (1987)

    • 関連する報告書
      1987 実績報告書
  • [文献書誌] 川島重成: 原始キリスト教とヘレニズム文庫紀要 ペディラヴィウム・ヘプライズムとヘレニズム研究. 27. (1988)

    • 関連する報告書
      1987 実績報告書
  • [文献書誌] 佐藤 研: 新約学研究. 16. (1988)

    • 関連する報告書
      1987 実績報告書
  • [文献書誌] 宮本久雄: "中世の人間像 『ニュッサのグレゴリオスにおける神の似像』" 上智大学中世思想研究所編・創文社, 330 (1987)

    • 関連する報告書
      1987 実績報告書

URL: 

公開日: 1987-04-01   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi