研究概要 |
現代経済学の主流である新古典派経済学(ワルラス経済学)にたいする批判の理論的基礎を提供するノン・ワルラシアン(non-Walrasian)経済理論をその経済学史的背景および源泉にまでさかのぼって調査、考察し、研究代表者の従来の研究(著書、Economic Theories in a non-Walrasian Tradition,1985;論文、Non-Walrasian Foundations of Macroeconomics,1985)の一層の展開をはかるのが本研究の目的であった。三年間の研究成果は近刊の英文著書History of Economi Theory,1989として公刊されるが、そこでは、経済学史上の多くの非ワルラス的な概念、構想、理論などが発掘、検討され、現代的なワルラス理論との比較、検討を可能にするために数理的なモデルによって表現されている。 研究の主要な成果としては、(1)ロック、メンガー、マーシャルなどの非ワルラス的市場観のモデル化、 (2)スミス、リカード、マルクスなどの非ワルラス(非ヘクシャー・オリーン)的国際経済理論の展開、 (3)J.S.ミルにおける均衡と不均衡の問題の解明、 (4)スミス、マルクス、マーシャルなどの規模の経済の理論の展開、 (5)マルクス(市場価値論)とマーシャル(代表的企業)の非ワルラス的均衡概念の分析、 (6)ベーム・バヴェルクとシュンペーターの利子論における均衡と不均衡の問題の解明、などが挙げられよう。
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