研究概要 |
(1) 方向性を持つデータの基本的母集団としては, 半径1の球面上に分布するランジュバン分布があり, 多変量解析における多変量正規分布と同様な役割りをしている. ランジュバン母集団の母数に関する仮説検定問題を取扱うために, 標本和に関する中心極限定理を拡張した表現が必要となる. 極限分布は適当な次数のBesse関数によって表現される平均, 分散を持つ正規分布となる. 方向性に関する仮説検定問題を取扱うために, (i)大度比検定基準, (ii)Rao統計量, (iii)Wold統計量を導出した. またこの問題に対してすでに提案されているWatson統計量との比較をするために, Pitmanの局所対立仮説のもとでの検出力関数の漸近展開表現を求め, 同時に, パーセント点に関するCornish-Fisher反転表現を求めた. 前者3個の統計量については, 一般理論を適用しても求められるが, その導出は複雑であるので, 個別の母集団として求めている. これらの表現を用いて数値的に検出力を比較して, Watson統計量の優位性を示している. (ii) 多変量正規母集団の共分散行列の固有値, 固有ベクトルについての大度と検定基準のPitmanの対立仮説のもとでの検出力関数の極限分布は非心力イン乗分布となることはよく知られている. 母集団分布が正規性からずれたときの統計量のRobuslnessを検定するために重要な母集団はElliptical母集団である. Elliptical母集団のもとでのけんしけつ力関数の漸近展開表現を求めたが, 極限分布は非心二次形式分布となる. この表現を用いて数値的に検討を行なっている.
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