本研究では、頻度データに基づいた希少生起事象の時間的・空間的集積性を測る尺度の導入を試み、その尺度の統計学的性質、とくに漸近分布の性質、検定手続きのためのパーセント点の作表を中心に検討した。得られた、結果の概要は次の4点にまとめられる。 1)事象の発生率の時間・空間的変動を調整するために、相対頻度に代ってO/E比(Observed number/Expected number)を利用することによりTANGO(1984)が発生率一定のもとで導入した集積度指数Cの自然な拡張が得られた。この統計量は、死亡事象を考えるとSMR(標準化死亡比)を利用することに一致し、その解釈も容易である。 2)交絡要因(Confounding factor)の調整を可能にした。 3)拡張された統計量は、一見複雑な構造をしているが、その漸近分布は統計量の歪度(skewness)で自由度を適当に調整することにより一つのχ^2分布で十分に近似できることが分かった。 4)さまざまな集積性のパターンに対する検出力は悪くない。 これらの結果により、拡張された集積度指数は多様な問題を適用可能となることが期待される。
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