研究概要 |
1.昭和45,50,55,60年における47都道府県の社会経済データを多変量解析することによって高度成長跡の日本経済の構造変動を明らかにする. (1)地域経済を表わす産業構造・就業比・物価・求人倍率・銀行預金残高等の経済関連データ24系列, 人口・進学率・下水道・住宅等の経済以外の地域関連データ20系列を選定し, 基礎統計による検討を加える. (2)各県の経済関連データ・地域関連データ変数について主成分分析し, 各県の主成分得点をグラフ化して, 構造変動を検討する. (3)上記2系列の主成分得点をクラスター分析し, 各県のグループ化を検討する. (4)以上の作業から, 過去15年間における構造変化が, 特に経済分野で著しいこと, 東京・大阪・神奈川・愛知をのぞくと, 過去に東北・九州の各県と, 近畿・中国・北陸の各県に2グループ化された地域経済特性が, 近年では九州と東北北部, 東北南部と北陸・山陰, 近畿・山陽の3グループに分割されること等の知見をえた. 2.2系列の主成分得点を用いた地方交付税・国庫支出金(県民一人当り)の重回帰分析により構造変化と対地方政府補助金の関係を検討する. (1)地方交付税と国庫支出金の変動係数分析・クロスマップ等から過去15年間における対地方政府補助金の地域間配分の変化を検討する. (2)相関係数分析によりあらかじめ相関の高い主成分得点系列を排除してステップワイズ重回帰分析を行い, 財政力指数による回帰分析との比較を行う. (3)以上の作業から, 国庫支出金よりも地方交付税の地域間配分の方が構造変動により対応していること, また各県における自民党所属国会議員のウエイト等の政治的要因を加えると補助金の地域間配分の説明力が増加すること等の知見をえた.
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