研究概要 |
先ず, 政府監査・政府予算・政府会計の実証的研究を試みた. 第1に, 政府監査制度について, わが国の会計検査院と米国会計検査院のそれぞれについて, 新聞記事で社会問題としてとりあげられたものを, 朝日, 日経, 読売, 毎日の4紙を対象に過去25年間にわたり調査して, 実証的に分析した. 第2に, 政府予算について, わが国の政府会計, とりわけ一般会計や特別会計等に関して, 新聞記事で社会問題としてとりあげられたものを, 上述の如く調査して, 実証的に分析した. 第3に, 地方自治体や病院等非営利団体, さらに公益法人等公会計の問題や, 行財政改革とも係わる税制改革や逃税の問題に関して, 新聞記事で社会問題としてとりあげられたものを調査して, 実証的に分析した. このような実証研究を踏まえて, 会計検査院と一般会計・特別会計が, 現在における社会問題としての会計の中心テーマであることを明らかにした. 具体的には, 一般会計の粉飾の問題, さらに市民生活に重大なインパクトを与えている固有林野特別会計や食管会計などの特別会計に焦点をあて, そこでの予算・会計問題に積極的にコミットすることや, 現実に社会問題となった会計検査院の権限強化をめぐる一連の動きに関して, 会計職業は, 積極的にコミットすべきことを提言した. 次に行財政改革に関する日本とアメリカの比較研究を試みた. すなわち, 財政改革に関しては, ニューヨーク市の財政危機の事例を中心に, 財政危機の原因と対策の実体を明らかにすると共に, わが国の財政改革によっての教訓を導出した. 行政改革に関しては, アメリカにおけるオンブズマン制度・情報公開・サンセット法等の行政管理の方策を実証的に検討し, わが国の自治体行財政改革にそれらの手法を導入する際に, 監査委員制度との関連が重要な課題になることを明らかにした.
|