研究概要 |
既に分類されている何種類かの概均質ベクトル空間のなかで, 普遍推移的開軌道をもつものを, 決定することは, この研究計画に於ける重要課題であったが, 幸にして, ガロア・コホモロジーを使う方法によって, この問題は, 完全に解決された. また, 井草局所ゼータ関数の計算は, 色々な意味で重要であるにもかかわらず大変難しかったが, 広中平祐教授の, 特異点の解消の理論を, この計算に応用する方法が, 開発され, 極めて重要な計算手段となった. また, この方法の応用として, 裏返し変換における, 井草局所ゼータ関数の, 変換公式も得られた. この理論を作るに際しては, 渡辺公夫氏をはじめとする多くの研究分担者との討論が, 大いに役立った. 数論を, アデールを使って研究する方法は, ハーバード大学のテイト教授の理論が表われてからは, 特に重要になってきていたが, テイト理論を, 概均質ベクトル空間の場合に拡張しようという試みは, アメリカでおこってきたが, 我々も, ある特別な場合には, それを行なった. ただし, この方面の本格的な研究は, これからである. ゼータ関数の極と, b関数の根との関係は, 実数体や複素数体の場合に, よく調べられて, 解析的にも面白い研究課題であったが, P進体の場合には, 実例を調べると, 何らかの関係があるのだが, 理論的根拠は, 全くわからなかった. 最近, 2変数の場合に, 外国でわづかに, 成果が出てきた位であったが, 我々は, 代数解析学を, うまくP進体に, 結びつけることによって既約概均質ベクトル空間の場合に, ゼータ関数(P進体上の)の極は, b-関数の根である, という理論的根拠を示すことに成功した.
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