研究概要 |
研究代表者, 各研究分担者のそれぞれの分野における計画にもとづいて, 研究を進めた. その結果, 当初の目的を完全に達成し, さらに将来の明かるい展望を含む大きな成果をあげることができた. 以下にその一部をまとめて記述する. 研究代表者(森田)は向きづけ可能閉曲面をファイバーとするファイバーバンドル(曲面バンドル)の特性類の理論を強力に推し進めた. ひとつの応用として, 最近米国カリフォルニア大バークレー校のCassonが発見した, 向きづけられたホモロジー3球面の新しい不変量, Casson不変量, 玉曲面バンドルの特性類に付随する二次的不変量として説明することに成功した. この方面ではさらに曲面の写像類群やBraid群の種々の線形表現との関連で新たな発展が期待される. 次に, 各研究分担者の成果のうちおもなものを列記する. 藤原は恒等作用素に近い無限個のFourier積分作用素の積がFourier積分作用素となることをはじめて証明した. 丹野は接触構造でもつRiemann多様体の研究を推し進めた. 福田は曲面間の写像の退化した特異点を摂動したときにあらわれる尖点の個数(mod2)がもとの特異点の低相不変量であることを示し, その量を与える代数的公式を与えた. 岡は3次元超曲面の特異点としてあらわれる2次元代数曲面の3次元toric varietyの中での変形理論をつくった. 野口は双曲的多様生への正則写像に関する拡張一収束定理を証明し, モジュライ問題, ディオファンタス幾何学への応用を得た.
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