研究概要 |
Mをコンパクトな(複素)ケ-ラ-多様体、ωをMのケ-ラ-計量、R(ω)をωのリッチ曲率とする。定数kに対してR(ω)=kωが満たされるとき、ωをアインシュタイン=ケ-ラ-計量、特にk=Oのとき重力インスタントン(Mが開多様体の場合には無限遠の近傍における適当な境界条件を仮定する。)と呼ぶ。アインシュタイン=ケ-ラ-計量の存在と多様体Mのトポロジ-とを関連づけるものとして、二木昭人氏の発見した二木不変量fがある。H(M)をMの正則自己同型全体のつくるリ-群、h(M)をM上の正則ベクトル場のつくるH(M)のリ-環とするとき、fはh(M)から複素数体へのリ-環準同型複写像であり、M上のアインシュタイン=ケ-ラ-計量の存在に対する障害不変量となっている。 論文「A.Futaki and K.Tsuboi,On some integral invariants,Lefschetz numbrs and induction maps,Tokyo J.Math.Vol.11 No.2(1988),pp 289-302」においてfとある種の楕円型複体とを関連づけ、それによって、fが計量に依存しないリ-環準同型になることの機構を明らかにした。 また、論文「A.Futaki and K.Tsuboi,Eta invariants and automorphisms of compact complex manifolds,Adv.Stud.in Pure Math.Vol.19(1989),pp 1-20」においてfのH(M)への拡張Fとある種のエ-タ-不変量とを関連づけ、それによって、Fを具体的に計算する公式をつくった。この公式を用いて、Calabiの予想: 『C_1(M)>0、h(M)={0}であるケ-ラ-多様体はアインシュタイン=ケ-ラ-計量を持つ。』 の反例を構成することが最終目標であるが、現在までの所、まだこの最終目標は達成されていない。
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