研究概要 |
1.考える問題は正値整係数対称行列A,Bに対しいつA〔X〕=Bが整数係数の行列解Xを持つか?である. m, nをA, Bの次元としておく. 又, m≧nで局所的には整数解があるものと仮定しておく. 2.m≧2n+3の時minBが十分大であれば整数解の存在はいえており又この条件が最良であろうと思われていた(n=1の時はそうなっている)がどうもそうではないらしいことがわかった. というのはn≧2とすると, Bと同じ次元のB^^〜でBを表わしAによって局所的には原始的にあらわされ, かつminBが十分大の時, minB^^〜も十分大となるものの存在がm=2n+2の時いえることが示せたからである. これは1での問題の仮定に更に局所的に原始的な解が存在することを加えた一見強い問題に帰着されてしまうことを意味し, この場合は問題が肯定的であることがより自然に予想されるからである. この様にn=1とn≧2の時に違いが生ずることは認識されていなかった. 3.解析的方向としてはn=2, m=6の時ある種の指数和の評価の仮定の下に解の個数の漸近式が得られていたが今の所その評価を証明することは, かなりむつかしそうでBを特殊な形に制限してジーゲル保型形式の理論(n=2に特有の)を使って解の個数の漸近式を得た. 4.2, 3に直接関連したことでも未だ解けてないことが多くこれからの目標でもある.
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