研究分担者 |
金井 雅彦 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (70183035)
前田 吉昭 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (40101076)
前島 信 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (90051846)
伊藤 雄二 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (90112987)
田中 洋 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70011468)
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研究概要 |
本研究の目的は多様体上の偏微分方程式の研究, いわゆる大域解析学に重点をおいて, 数学の諸分野の研究者の相互協力のもとに多様体の幾何学的諸問題の研究を行うことにあった. リーマン多様体の埋入問題については前田吉昭が(中村玄と共同)一般次元に関する予想を(2, )3次元の場合に考察し, 曲率テンソルが消滅しない点の囲りでは6次元ユークリッド空間への等長埋入が存在することを示している. これはナッシュモーザー型の陰関数定理の改良とその応用に基いている. 力学系と負局率多様体の幾何学に関連しては, 金井雅彦による測地流の研究がある. すなわち, 負曲率閉多様体の曲率Kが-9/4<K【less than or equal】1なる条件を満たすとき, その測地流はある負の定曲率空間の測地流と合同であることを示した. これはエルゴード理論との関係が深い. また負曲率閉多様体の測地流で不変なL^2テンソル場が殆ど至所平行であることもテンソルのエルゴード性として証明している. コンパクトでない負曲率多様体についてもある種のピンチング問題が解かれている. 共形不変量の研究に関しては, 球面上にある変換群が作用している場合につき考察が進められているが, 完全な解決には至っていない. 確率微分法定式の研究では, 田中洋によるマックスウェル型のボルツマン方程式の研究がある. 特にある種の確率微分方程式の解の存在と一意性に関し有意義な結果を出している. また前島信は確率空間上のすべての確率変数の作るベクトル空間上に新しい計量を導入し, 確率過程の収束率の評価に極めて有効であることを示した. 更に定常過程から構成される自己相似確率過程への応用がある. 伊藤雄二はσ無限な測度をもつルベーグ空間のエルゴード的保測変換に関するいくつかの性質の同値性の研究をしている.
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