研究概要 |
1.葉層構造 双曲的曲面(閉かつ有向)Σの上の S^1 束 Eの上に, いつ, 各ファイバーに横断的な葉層構造が入るかという問題は, すでに解決されている. すなわち, Eのオイラー数e(E)が, 不等式 〓e(E)〓≦〓x(Σ)〓を, みたすとき, また, このときに限り, 入ることが知られている. さて, この不等式において, 等号成立のとき, E上の, そのような葉層構造は, 強い定性的制約を受けるであろうことが想像されるが, この問題に関し我々は, 次の様な解決を得た. 〓e(E)〓=〓x(Σ)〓のとき, Eの上の, そのような葉層構造は, 位相共役を除き, 一意的である. これと, サーストンの定理を併せれば, 次を得る. Σ上の単位接束T(Σ)上の葉層構造のうち, コンパクト葉を持たないものは, 位相共役を除き, 一意に定まる. このような現象は, かつて, 発見されていなかったことである. 2.双曲多様体の幾何学, 双曲的曲面(閉かつ有向)Σをファイバーとする. S^1の束Mを考える. Mのモノドロミー写像ψが, 擬アナソフ写像である場合, Mは, アトロイダルなる多様体になる. このとき, H^1(M:R)の上に, サーストンノルムが定義される. 一方, Mは, S^<>上の束としての, 構造を一般に無数に存し, それは, H^1(M:Z)の, 或る開領域と, 1対1に, 対応している. その中の各々の点に対し, 位相的エントロピーhが定義される. 我々は, hが, 上述のサーストンノルムに関し, 凹関数をなすことを示した. 他に, 我々は, 複素射影構造に関し, 次の結果を得た. ある種のB群の極限集合は, 局所連結である.
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