研究概要 |
1.不定内積空間上の自己随伴作用素のスペクトルは実数以外にも値をとることがあり, ヒルベルト空間上とは状況が大きく違っている. 有限次元空間の場合からわかるように, 作用素の対角化に相当する操作は存在せず, 現在のところ, 不変部分空間を利用した解析法がほぼ唯一であって, この立場からの数学的定式化をを試みた. 良く知られているように, 光子の理論におけるグブターブロイラー形式の成功は,, 不定内積空間の中から, 物質的に意味のある部分空間を取り出す条件を見出せた点にある. これは量子化された電磁場に付随して定まる条件であって, 数学的な一般性は有していない. そこで, 与えられた自己随伴作業素を上半三角行列に表し, (1,1), (3,3)成分が中立閉部分空間上へ作用し, (2,2)成分がヒルベルト空間上の自己随伴作用素と見なせるのは, どのような状況であるかを考えてみた, もちろん, (2,2)成分がグプターブロイラー形式の横波に相当する物理的にも意味のある部分のつもりである. その結果, このような三角行列表示の可能性と, ポントリャーギン, クレイン等の不変極大非負部分空間の存在とが同値であることが判明し, 十分条件として計量作用素に関する非対角成分がコンパクトであることが得られた. しかし, この条件を改良することは, 古くから微分方式論において, フィップスの問題と呼ばれるものと同内容になり, 大きな壁に出合っている. 2.今年度の後半では, ドゥリンフェルト, 神保, ヴゥロノヴィツ等により独立に, 異なる意図の下に発見された量子かされた群SLg(2), URLD(21), SnU(2)の表現論を, 上野喜三雄, 野海正俊, 増田哲也, 三町氏等とともに研究中であり, 古典的球関数に相当るする部分の量子化に成功した.
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