研究分担者 |
足立 俊明 熊本大学, 教養部, 講師 (60191855)
高田 佳和 熊本大学, 理学部, 助教授 (70114098)
吉田 清 熊本大学, 理学部, 助教授 (80033893)
佐々木 武 熊本大学, 理学部, 助教授 (00022682)
河野 實彦 熊本大学, 理学部, 教授 (30027370)
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研究概要 |
Gauss過程の特別なクラスについてBrown運動以外に新生過程があるか否か, すなわちBrown運動1つで標準表現ができるか否かについて精密な考察を行った. ここに言う特別な場合とは, Brown運動に絶対連続な項を加えたGauss過程であり, 通信理論などにおいて典型的な雑音+信号モデルとして古くから研究されていたものである. これに対しては, イノベイション定理として, 新生過程としてBrown運動があることは古くから知られており更にその具体的な構成方法もよく知られている. 本研究では, 当初の研究計画に従い, 新生過程がこのBrown運動のみである場合(標準表現の言葉で言えばBrown運動に関して重複度1の場合)の必要十分条件を求めた. これ以外の場合はBrown運動のみでなく何らか別の新生過程が参与せざるをえないことになる. その後者の極端な場合として, 雑音(=Brown運動)と信号が完全に区別できる場合があり, このような例を具体的に構成することができた. 一方, 情報が時間毎に完全に分離される場合についても, 再生核Hilbert空間を用いて判定できるようになったことはいささかの成果と言えよう. 以上のことは論文としてまとめるつもりである. より一般的な問題で, 共分散関数を与えて標準表現を決定することについては十分な成果が得られなかった. この問題を解くためには, 先ず新生過程を1つでも取り出すことが重要であることがわかった. この仮定をおくと, この1年間取り扱った特別な場合と同様の標準表現に関する定理が成立すると思われる. この1年間の研究を反省すると, Gauss過程の標準表現に関して完全な解決をうることはできなかったが, 自然に現われる応用分野における大半のGauss過程はBrown運動に関して標準表現できることが判明したと言えるであろう.
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