研究概要 |
近年のコンピュータグラフィクスの発達とあいまって, 統計的データ解析の手段として, 多くのグラフが提案され活用されている. これらの多くは多次元の情報を平面に射影することによって得られるものである. たとえば星座グラフ, 順位グラフなどは多次元の情報をベクトルの方向や長さによって表現している. これらのグラフについては数理的な基礎付けが研究代表者によってなされている. そこで本年は, 各地(九州大学, 岡山大学, 愛知教育大学, 北海道大学等)の研究者と意見を交換し, この研究をより一般的なものに発展させた. 本研究の成果は以下の通りである. (1)多変量解析やノンパラメトリック統計に用いられている既存のグラフの系統的な整理分類を行った. これについては現在も継続中である. 分類の理論と応用に関する研究会(1988年12月)に発表予定. (2)不完全順位づけの場合の順位データのグラフ解析法の提案を行った. 日本行動計量学会(1987年8月)において発表. またBehaviormetrikaに発表準備中. (3)連結ベクトルの分布の一般論の展開を行った. 日本統計学会(1987年7月)において発表. さらに第46回ISI(1987年9月)において発表. (4)グラフ解析における幾何学的情報の意味について研究した. 日本計算機統計学会(1987年10月)において発表. なお, この方面の研究は新しい発展の可能性があり今後も研究を継続する予定である. (5)グラフ解析に関する統計ソフトウエアの開発・整備を行った. 開発したソフトウエアの一部は著書として(共著. 1988年7月, 朝倉書店)発表予定である. なお, グラフィカルな重回帰分析, グラフによる分布の選択法なども現在研究中である.
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