研究概要 |
本研究によって得られた主な新知見は, サブミリ波干渉分光計の新たな製作法の有用性の確認, 及びサブミリ波ヘテロダイン検波用逓倍器製作途上での問題点の解明である. それぞれについて以下に記す. 1.サブミリ波干渉分光計製作法について (1)格子定数20mm, 有効鏡面積16×16cmのラメラー格子を, 精度良く研磨されたSUS板より, NC放電加工により切り出し, 後, 整形研磨すると云う簡便な方法により作製した. 製作したラメラー格子の鏡面精度は, ±10秒角以内であり, 当初の計画通りの精度を有する. その際, 特に素材の熱処理には細心の注意を払う必要がある. (2)製作したラメラー格子を用い, ラメラー型干渉分光計(FTS)を製作した. 性能テストを兼ね, 実験室内の大気(光路長約4m)の透過測定を行った. FTSは設計波長領域(33.7〜1.6cm^<-1>での分光計として使用出来る. (3)従来の方法に比し, はるかに簡便な方法により, ラメラー型FTSが製作出来た. (4)なお, 仙台におけるサブミリ波領域での大気の透過の目安を得るための, 太陽の分光観測を, 継続して行う予定である. 2.サブミリ波ヘテロダイン検波用逓倍器製作について (1)345GHzでのヘテロダイン検波用局部発振器として, 115GHz発振器の3逓倍器(ショットキ・ダイオード)の最適設計を行った. (2)3逓倍器製作の前段として, より構造の簡単なW-bandの2逓倍器を製作し, その特性を測定した. その結果, 入力周波数75〜90GHzに対し, 変換損失 25dB以内の逓倍出力を得た. また, ダイオードのウィス力長と検波電圧の関係を明らかにし, ダイオードへの最適入力電圧についての目安を与えた. (3)引続き, 3逓倍器を試作中であり, その問題点及び特性を明らかにする予定である.
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