研究概要 |
太陽観測用の「波長8cm電波写真儀」の観測用ソフトウェアを変更し, 宇宙電波の観測が自動的に行なえるようにした. まだ位相・遅延トラッキングがうまくゆかないため, 位相トラッキングに関してはデータ処理によって行なっている. 遅延トラッキングができないため, 観測は南中附近での観測に限られる. 観測データから像合成するソフトウェアを変更し, 太陽以外の天体の像合成が可能となった. 宇宙電波は弱く, アンテナ配列の冗長性を利用したアンテナ毎の位相の較正が精度よくできないので, 昼間の太陽観測中のデータを用いた較正値を用いた. 画像処理法の改良により画像のダイナミックレンジを大幅に改善することができた. このため太陽観測において今まで数分間の積分が必要であったが, 改良後0.1秒毎の像で十分高画質の像が得られるようになった. これにより昭和63年3月18日の部分日食の連続電波画像が得られた. 宇宙電波観測は, 波長8cm近傍で十分強度の強い電波源についてリストアップし, 観測可能範囲内の電波源を観測した. 数十Jy以上の電波源については, 像合成により同定することができた. 弱い電波源についてはA/D変換器の零点のずれの変化と思われる誤差により, 積分してもうまく同定できないため, 現在改良を行なっている. 未同定の変動電波源探査のため, 強い電波源の存在しない領域のサーベイを行なったが, 新たな変動電波源の発見には至っていない. 今後も装置を改良するとともに, 観測を継続する予定である.
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