研究概要 |
sd核間の重イオン散乱、^<24>Mg+^<24>Mgや^<28>Si+^<28>Si等での共鳴現象を分子論的模型によって分析することが本研究の目的である。1.本課題では入射・標的核の変形として単純な軸対称性を仮定し、2原子核系の自由度を全系の回転自由度と内部自由度に分離することにより模型を構成した。この模型ハミルトニアンの量子化を行い、自由度の分類に従って回転・振動の基本部分とモ-ド・モ-ド結合項部分及びコリオリ結合項とに分類した。力学的には、フォ-ルデイング模型による核間相互作用を用いて検討を進めた結果、高スピン状態においては、入射・標的核の変形型によって2原子核の接触安定点のあり方が異なることが判明した。すなわち安定配位はプロレイト変形で極-極接触型(極:変形の対称軸)で、オブレイト変形で周縁-周縁接触型になることを明らかにした。2.プロレイト変形核衝突の場合となる^<24>Mg+^<24>Mgを中心に研究を進め、極-極配位の基準振動を以下のように明かにした。2核間相互のねじれのモ-ドは束縛が弱くて、回転的である。残りの3内部自由度(核間相対距離、極の分子軸からの傾き2自由度)については、安定点の回りでの復元力の2次近似について解析的に解くことができる。内部回転自由度と極の傾きの振動自由度は縮退的なエネルギ-量子をもつ。3.この解をベ-スにして、2では省略したねじれのモ-ドの相互作用(モ-ド・モ-ド結合項)を対角化し、規準振動のスペクトラムを得た。弾性チャンネル成分を含むK=0状態のレベル密度は、実験結果とよく一致する。4.崩壊幅の分析では、45.7MeV共鳴(スピン36)については、(2^+,0^+),(2^+,2^+)チャネルへの強い崩壊強度を良く再現している。また実験では6^+などの高スピン非弾性チャネルへの強い崩壊も観測されているが、高励起状態で(6^+,0^+),(6^+,2^+)チャネルへの成分が集中していることが認められた。この点については今後詳細に検討する予定である。
|