研究概要 |
太陽フレアにともなって発生するガンマ線および中性子を高感度で観測するための予備実験として, 直径3インチ, 高さ2インチのBGOシンチレータに対するガンマ線検出効率およびエネルギー分解能などの放射線特性が測定された. ガンマ線源としては, Cs-137(0.662MeV)およびCo-60(1.17, 1.33MeV)のエネルギー較正用線源に加えて, 原子炉からの熱中性子捕獲反応で生成されるNa-24(1.38, 2.75MeV), Ca-49(3.08, 4.07MeV), Ti-49(6.41, 6.75MeV)およびNi-59(8.53, 8.99MeV)などが用いられた. さらに10MeV以上ではバンデグラーフ加速器からの陽子の捕獲反応で生成されるSi-28(10.76MeV)およびC-12(12.79, 17.23MeV)の高エネルギーガンマ線が用いられた. これらの実験結果からBGOシンチレータの発光量が, ガンマ線エネルギーに比例して増加すること, エネルギー分解能が, ガンマ線エネルギーの平方根に比例することが確認された. さらにガンマ線エネルギーに対する全エネルギーピーク効率, シングルおよびダブル・エスケープピーク効率が求められた. この結果からBGOシンチレータは, NaIおよびCsIシンチレータにくらべてエネルギー分解能の点では劣るものの, ガンマ線検出効率においてはきわめてすぐれており, 太陽ガンマ線の検出に有効であることがわかった. またBGOシンチレータに対するガンマ線検出効率については, モンテ・カルロ計算がおこなわれ, 実験結果とほゞ一致する結果が得られた. さらに中性子に対するBGOシンチレータのレスポンスが, 加速器による原子核反応からの中性子を照射して調べられた. この結果, 中性子のエネルギーが50MeV以下ではBGO中で14MeVのガンマ線が発生することが見出された. 今年度なされたこれらの実験結果から太陽ガンマ線および中性子に対するBGOシンチレータの基礎的データが得られた.
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