研究概要 |
本研究で得られた主な結果は以下の3点に要約される。 (1)電気抵抗: CeCu_6のb軸方向の電気抵抗ρ_b(T)の測定からρ_bが最大値をとる温度Tmは、P=1barで15KであったがP=30kbarでは90Kに上昇した。TmαTkと考えられるのでTkは高圧下で増加していくことが示唆される。圧力係数Tm^<-1>δTm/δPの値は170×10^<-3>kbar^<-1>であった。一方1barでTm=103KであるCePd_3に対して、Tmの圧力係数は6.5×10^<-3>kbar^<-1>ともとめられた。この値はCeCu_6のそれに比べて1桁以上も小さく、この違いはs-f交換相互作用Jにおける違いによるものであると結論した。 (2)熱膨張: CeCu_6単結晶の熱膨張係数α_i(i=a,b又はc)の温度依存は異方性が大きく、α_bにおいては結晶場の効果が顕著に現れ又α_cにおいては、T<10Kで近藤効果によるものとおもわれる増加がみられた。又α/T vs T^2 plotにおいて(但しα=(1/3)(α_a+α_b+α_c)とする)低温で降温と共にα/Tの値は大きく増加した。これはCeの4f電子の大きな有効質量によるものであると考えられる。この傾向はCeInCu_2、CeAl_3などにおいてもみられた。更に、T>10Kの温度範囲においてαへのf電子による寄与α_mは、その温度変化においてSchottky型anomalyを持ち大川らによって提出された現象諭をもとにして結晶場分裂の大きさを推定した。 (3)X線回析: CeCu_6の3軸の格子定数a,b,cの圧力変化を室温及び77.4Kで調べた。その結果(2)と同様に、その圧縮率k_i(i=a,b又はc)に大きな異方性がみられた。大きさの順序はκ_b>κ_c>κ_aであった。これは超音波によって求められた結果と定性的に一致する。又77.4Kにおいて約45kbarで2次相転移が存有することを示した。
|