研究概要 |
現時点ですでに超高真空蒸着装置は完成しており, 今年度はBe, CuMn希薄合金微粒子, Al微粒子, Sn微粒子試料を清浄な雰囲気中で作製し, ESR, 熱測定, 電顕測定を行ってきた. Be微粒子に関しては粒経100〓以下の超微粒子のESRスピン緩和時間に, サイズが小さくなると緩和時間が長くなる量子サイズ効果によると思われる現象が観測された. 結果は2つの論文に発表した. CuMnの微粒子のESRに関しては, 測定温度域(4K〜300K)で常磁性を示すMnの希薄濃度 囲を中心に実験を行った. 濃度の違いによるESR line巾の温度変化は明らかにバルクの状態と異り, スピンボトルネック緩和機構が表面緩和の増加により, どのように破れてゆくか定性的にはかなり明らかに出来た. 今後定量的な議論をすすめるために, 制度の高い微粒子中のMn濃度決定が必要であり, 現在実験の継続中, 成果は62年度秋の物理学会発表他論文一編. Al微粒子に関してはその伝導電子スピンESR(CESR)信号の観測に成功. バルクや薄膜状態のCESRは多くなされているが, 微粒子状態に関しては殆ど報告例はない. line巾のサイズの違いおよび温度変化等から表面効果を考察中, 63年春の物理学会発表予定. Sn微粒子についてはサイズによる超伝導臨界磁場, 移転温度の変化より, 酸化膜を通してのジョセフソン効果を調べた. 論文1編投稿中(共同研究). 現在試料はいづれもガス中蒸発法で作製しているため, Be以外の試料では100〓〜500〓と大きく, 膜厚計を使った真空蒸着によって, 金属島状構造を作り50〓以下の超微粒子試料を作るという主たる計画はいま1部製作中でいま少し時間が必要である. 上記実験と平行して, すでに試験実験には入っている. このたびの科研費によって購入したコンピュータ制御膜厚計を各種プログラム通りに十分機能させるためには現在使用中の抵抗加熱電源をサイリスター制御にする等当初の予定以上の改造が必要であった.
|