研究概要 |
従来我々の研究グループでは、1-400eVのe^+およびe^-ビームに対する種々の原子分子による散乱の全断面積(TCS)の測定を行ってきた。100eV以下の領域ではe^+・気体とe^-・気体ではその系での相互作用の違いが大きいためにTCSに大きな差異が出る。一方十分に高エネルギーでは静的クローン力散乱となりe^+とe^-とでTCSに差がなくなる。この中間エネルギー域(50-2000eV)でHe,Ar,O_2,N_2をターゲット気体としてe^+とe^-のTCSの測定を行った。 測定方法はTDFなので実験的に次の改良を加えた。(1)飛行管を今までの約3倍に、(2)波高分析器を2倍のチャンネル数に。(3)高圧につかえる様な電極系に。(4)送電場ユニットの改良。 測定結果はKamppilaらのデータ(800eVまで)やN_2でのDuttonの値と比べられ、また4種の気体のデータ共にe^-のデータとも比較された。HeについてはTCSデータがe^+とe^-とで150eVで混り域に入るが他では1000eV以上についてである。またこの測定域でのボルン第1近似で表現できるか否かの検討が行われ、ほでこの考えに従っていることが示される。この近似から合わない程度・傾向については他の測定者によるデータとも同じであることが示された。N_2を除くと従来のデフターのエネルギー域を拡げ、ここで今までの考え方に大きな修正は不要であることがわかった。 なお、旧来の本研究室の方針でのTCSデータもベンゼン(C_6H_6)およびアセチレン(C_2H_2)についてのデータを得ることが出来た。
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